行政書士事務所への転職を考えたとき、未経験でも採用されるのかと心配する人も少なくありません。
行政書士事務所は求人が少ないイメージがある一方で、実は実務未経験でも可の募集は多く存在します。
ただし、その背景には業界特有の事情があり、仕事内容や年収の現実を知らずに飛び込むと思っていたものと違う場合もあります。
- 未経験でも採用される可能性はある
- 求人は、行政書士向け転職サイトかハローワークで探す
この記事では、未経験者が採用されやすい理由から、求められる人物像、年収の相場、求人の探し方まで、転職前に知っておくべきポイントを解説します。
行政書士事務所は未経験OK求人が多い
行政書士事務所の求人は専門性が高く、経験者しか採用されないのではと考えられがちですが、未経験でも採用される可能性は十分あります。
その背景には、行政書士業務の特性や事務所側の採用事情が深く関係しています。
行政書士の仕事は幅広く、事務処理の正確さが求められる一方で、特定分野の経験者をピンポイントで確保するのは非常に難しいものです。
そのため、多くの事務所が経験よりも人柄や基礎スキルを重視し、未経験者にも門戸を開いています。
この章では、なぜ未経験OK求人が多いのか、その理由を具体的に解説していきます。
経験者よりも「丁寧に教えられる人」「書類作成が正確な人」を重視
行政書士事務所は業務の性質上、経験よりも丁寧さ・正確さ・素直さが成果に直結します。
具体的には次のような人が求められます。
- 丁寧に仕事ができる
- 指示を素直に吸収できる
- コツコツ作業が得意
行政書士の業務は、役所に提出する書類作成が中心です。一文字の誤記や添付書類の漏れがあるだけで、申請が差し戻されることもあります。
そのため、経験よりもミスなく丁寧に作業できるかが圧倒的に重要視されます。
また、行政書士業務は事務所ごとに進め方が違います。書類のテンプレートやクライアント対応の方針、業務の専門分野は事務所ごとに異なります。
経験者でも一から覚え直すケースが多いのが実情です。即戦力も重要ですが、素直に吸収できるかどうかも重視されます。
さらに、行政書士事務所の多くは所長+補助者数名の小規模体制です。
教育に割ける時間が限られているため、指示を理解して動ける人やコミュニケーションが取りやすい人が求められます。
経験者でもクセが強いと手間が増えるため、未経験でも素直で丁寧な人の方が育てやすいという声も多く聞かれます。
行政書士業務は幅が広く、特定分野の即戦力を見つけにくい
行政書士業務は扱う分野が多く、専門特化しにくい点が特徴です。
建設業許可・相続・遺言・会社設立・外国人ビザ・農地転用・自動車登録など、業務が多岐にわたるため、すべてに精通した経験者はなかなか見つけられません。
事務所ごとに専門分野が違い扱う案件が全く異なるため、他事務所の経験がそのまま即戦力にならないケースも多く見られます。
また、同じ許認可でも自治体によって必要書類や運用が異なるため、経験者でも地域が変われば即戦力になりにくいケースもあります。
さらに、経験者でも扱ったことのない分野が多く、結局は未経験と同じスタートになる場合もあります。
未経験でも採用されやすい人の特徴
未経験から行政書士事務所へ転職する場合、事前に採用されやすい人の特徴を知っておくと有利に働く場合があります。
行政書士の仕事は専門性がある一方で、実務の大半は書類作成や情報整理といった地道な作業が中心です。
そのため、経験の有無よりも業務に向いているかどうかが採用判断に直結します。
次に、未経験でも評価されやすい具体的な特徴と、事務所が求める人材像を解説します。
事務処理能力が高い
事務処理能力の高さは即戦力に近い能力と見なされ、未経験でも採用されやすくなります。
行政書士事務所で求められる主なスキルは以下のものです。
- タイピングの速度と正確性
- Word・Excelの基本操作
- 指示の正確な理解と順序立てた作業
- 複数の案件の同時管理
- 細かい数字・日付・名称のチェック
- 資料や書類の整理
- 淡々とした作業でも続く集中力
行政書士業務は書類作成が業務の中心で、ミスがクライアントの不利益につながる可能性もあります。
また常に複数案件が動くため、タスク管理が得意だと評価されます。
提出する申請書類は誤字・数字のミスが許されないため、細部にまで気づける注意力も重要です。申請の際には添付書類が多く、紛失や混在を防ぐための整理力も求められます。
さらに、行政書士の仕事は地味な作業が多いため、集中力も大きな武器になります。
必要書類を集め申請書類を作成し、十分にチェックしてから提出という流れが明確なので、手順を整理して進められる人は強いといえます。
正確にコツコツ仕事ができる
小規模事務所では一人のミスが全体の負担となるので、正確さと継続力を持つ人は、未経験でも採用されやすい傾向にあります。
行政書士の仕事は地味な作業が中心で、その内容は主に下記のものです。
- 書類作成
- 添付資料の収集
- 法令チェック
- 役所とのやり取り
日常業務では、ミスに気づける注意深さも重要で、自分の作業を見直す習慣があると強みになります。
また行政手続きは順番が重要なので、丁寧に仕上げる姿勢があると高評価につながります。
スピードも重要ですが、正確さを優先できるタイプは行政書士業務に向いています。
地味な作業でもモチベーションが下がらず、完成度に満足感を感じられる人も必要な人材です。「コツコツ作業が苦にならないか」「正確性を保てるか」といった適性を採用担当者は見ています。
自分で仕事を取ってこられる
許認可や相続などは紹介で広がるため、担当者の営業力がそのまま案件獲得につながることもあります。
自分で仕事を取ってこられる人の主な特徴は次の通りです。
- 人と話すことに抵抗がなく初対面でも自然に会話できる
- 相手のニーズを聞き出すのが上手い
- 専門知識を分かりやすく説明できる
- 士業・建設業・不動産業などの人脈つくりが得意
- 行動力があり、自分から動ける
- 信頼される誠実さがある
- 継続的に関係を維持できる
許認可・相続・ビザなど、相談内容は様々で、相手の状況を丁寧に聞き取れる人は信頼されやすくなります。
また、複雑な申請や制度の内容を噛み砕いて説明できる人は、相談者から選ばれやすい傾向にあります。
登記や決算書の準備など、行政書士の仕事は他の士業との連携も多く、関係構築ができる人も求められます。行政書士の仕事は「この人なら任せられる」と信頼してもらうことが最重要です。
さらに、一度の案件で終わらせず定期的にフォローすることでリピートや紹介もしてもらえる場合もあります。
事務所の色に染まりやすい
行政書士事務所は、それぞれ得意とする専門分野が大きく異なります。
| 事務所の専門分野 | 求められる特徴 |
|---|---|
| 建設業許可 | 業者とのやり取りが多く、書類の正確性とスピードが重視される |
| 相続・遺言 | 高齢者対応や丁寧なヒアリング力が求められる |
| 外国人ビザや在留資格 | 入管手続きの知識や外国人とのコミュニケーションが重要 |
このように、扱う業務によって事務所のカラーがはっきり分かれているのが特徴です。
未経験者は実務経験がない分、前職で身についた固定観念やクセが少なく、事務所の方針や専門分野に合わせて柔軟に育てやすいというメリットがあります。
そのため、事務所のやり方を一から吸収してくれる人が歓迎されやすく、未経験者が採用される理由のひとつにもなっています。
未経験OK求人の年収と待遇
行政書士の仕事は専門性がある一方で、小規模事務所が多く給与体系も一般企業とは異なります。
そのため、未経験からの転職した人の年収は平均的な金額にとどまるケースも多く、即座に大幅な収入アップを期待するのは現実的ではありません。
この章では、未経験者の年収相場、待遇の特徴、そして年収を重視する人が知っておくべき注意点を整理します。
未経験の年収は300万円台が多い
未経験から行政書士事務所に入る場合、最初の年収は高くないという前提で考えるとギャップが少なくなります。
その理由は以下のものです。
- 小規模事務所が多く給与水準が高くない
- 経験者は即戦力ではないと判断される
- 売上が安定しにくい業界構造
- 賞与が少ない、またはない事務所も多い
行政書士事務所の多くは行政書士と数名の従業員からなり、一般企業のようなしっかりとした給与テーブルがない場合もあります。
そのため、初年度から高い給与を出すのが難しく、年収300〜350万円前後に設定されることも多く見られます。
行政書士の実務は専門的で覚えることも多く、最初の1年ほどは育成期間と見なされるため、給与は控えめに設定されがちです。
また、行政書士の仕事は許認可や相続、ビザなど、案件の波が大きい分野が多く、事務所の収入も安定しにくい傾向があります。
そのため、固定給を高くしづらいという事情もあります。中には賞与が年1回・寸志程度、あるいは賞与なしの事務所も珍しくありません。
行政書士事務所への転職で大幅な年収アップは難しい
行政書士事務所の給与は、急激に上がらないが、安定して少しずつ伸びるという特徴があります。
そのため、今すぐ年収を上げたい人にはあまり向いていません。大幅な年収アップが難しい理由は以下のものです。
- 事務所の収益構造が高利益ではない
- 小規模事務所が多く給与テーブルの更新がされていないことも
- 資格を取ってもすぐに収入が跳ね上がるわけではない
行政書士の報酬は法定手数料や相場がある程度決まっており、1件あたりの利益が極端に高いわけではありません。
そのため、成果を出したら一気に年収が上がることは少なめです。
また、行政書士資格を取得しても、実務経験や営業力、人脈が揃わないと売上は伸びません。資格取得が即高収入につながるわけではなく、年収アップには時間がかかります。
賞与が業績連動のため、年1回の寸志であったり、そもそも賞与なしというケースも珍しくありません。
年収重視なら他業界の方が向いている場合もある
専門性が高くやりがいのある仕事ですが、給与水準だけを見ると他業界より低めです。
今すぐ収入を上げたい、生活水準を早く改善したいという人は、他業界の方が満足できる場合もあります。
- 行政書士は給与体系が伸びにくい
- 他業界の方が昇給基準が明確で賞与も安定している
- 行政書士事務所は年収より専門性や独立を重視する人向け
行政書士事務所は売上が案件の波に左右されやすいため、固定給が高くなく昇給幅が小さいという特徴があります。
例えば、IT・Web業界や不動産・建設の営業、人材業界などは、未経験でも年収350〜450万円スタートが珍しくありません。収入を上げたいという目的が強い人は、こういった業界の方が合いやすい傾向にあります。
行政書士事務所で働くメリットは、実務経験が積めたり専門スキルが身につくといったキャリアの積み上げにあります。
もし転職の軸が「年収アップ」「生活水準の向上」である場合、行政書士事務所は必ずしも最適とは言えません。
未経験OK求人の探し方
行政書士事務所では、求人の出し方も事務所によって大きく異なります。
そのため、未経験歓迎の求人を見つけるには、一般的な転職活動とは少し違う探し方が必要です。
求人サイトやハローワークに掲載されている募集はもちろん、求人を出していない事務所へ直接アプローチする方法も有効です。
特に行政書士業界は、所長のタイミングや案件の増減によって急に人手が必要になることが多く、表に出ていない潜在的な採用ニーズもあります。
この章では、未経験者が効率よく行政書士事務所を見つけるための具体的な方法を紹介します。
求人サイト・ハローワークを活用
未経験OKの行政書士事務所を探すうえで、まず活用したいのが求人サイトとハローワークです。
特に行政書士補助の求人は、資格不問・未経験OK・事務経験があれば歓迎という条件が多く、最初の入口として最適です。
また、求人サイトは、勤務時間や年収、事務所の規模や扱う専門分野などの情報が比較しやすいのもメリットです。
一方、行政書士事務所は地域密着型のため、ハローワークにしか出していない求人も多く存在します。ハローワークの特徴は、次の通りです。
- 小規模事務所の求人が多い
- 所長が直接求人票を出しているケースが多い
- 未経験歓迎の割合が高い
特に、人手が足りないから急いで採用したいという事務所は、求人サイトよりハローワークを使う傾向があります。
行政書士事務所の求人票は情報が少ないことも多いため、以下の点をチェックするとミスマッチを防げます。
- 扱う専門分野
- 残業の有無・繁忙期の記載
- 資格取得支援の有無
- 事務所の人数
- 求める人物像
特に専門分野は、入ってからの仕事内容が大きく変わるため、必ず確認しておきましょう。事務所の人数が小規模であるほど、所長個人のカラーが強くなる傾向にあります。
コミュニケーション能力重視か、事務処理重視かなど、求められている人物像も自分に合っているか確認しましょう。
求人を出していない事務所へアプローチ
行政書士事務所は小規模のため求人を常に出しているわけではありません。
しかし、求人票が出ていないから採用がないという意味ではなく、実際には人手は欲しいが求人を出すほどの余裕がないという事務所も多く存在します。
そのため、未経験者でも求人を出していない事務所へ直接連絡することで採用につながるケースもみられます。
行政書士の仕事は、繁忙期が突然来たり、大口案件が急に入るといった業務量の波が大きい業界です。したがって、たまたま声を掛けたらそのまま面接にすすみ採用というケースもあります。
直接、連絡する際には以下のような方法があります。
- 事務所のホームページから問い合わせフォームで連絡
- メールや電話で応募の意思を伝える
- 郵送で簡単な履歴書と職務経歴書を送る
行政書士事務所は人柄を重視する傾向にあるため、誠実な対応は好印象を与えます。
また、事務所ごとに扱う分野が違うため、業務のカラーに合わせたアピールも効果的です。

